【検証】マンホールのフタから見るトロントの歴史

久しぶりにダウンタウンに出かけたついでに、トロントで見ることができる珍しいマンホールのフタを見てきました。

この記事の目次

トロントの街の始まりと、100年以上も前に遡るマンホールのフタ

トロントが街として誕生したのは、19世紀のこと。Town of York(1793年〜1834年)に始まり、その後トロント市となったのが1834年。現在のセントローレンス・マーケット周辺がその始まりです。

当時は Hog Town とか Muddy York とかと言われるほど街は泥だらけで、上下水道システムを作りあげることが急務でした。ここで登場するのが、Arthur S. Goss。彼は1911年に公式写真家として雇われ、トロント市の写真を撮影していた人物です。

Fonds 200, Series 372, Subseries 41 - Miscellaneous photographsArthur S. Goss – portrait : original negative by A.S. Goss/Date(s) of creation of record(s):December 9, 1928/トロント・アーカイブ蔵(Public domain)

この仕事につく前、彼は5年間「Street Improvements department(道路改善課)」に勤務していました。どうやらその時に、下水道に繋がるマンホールのフタ(The City of Toronto Manhole Top)のスケッチを描いていたようです。その経緯がトロントスター紙に詳しく記されています。
トロントスター紙記事:https://www.thestar.com/news/2007/10/14/under_the_covers.html

実はこの当時に製作されたフタは、実際に見ることができます。今から100年以上前のマンホールがある、ということだけでも驚きですね。

ちなみに、マンホールのフタはこちらでは

・Manhole Cover
・Sewer Cover
・Basin Cover
・Utility hole Cover

などと様々な呼び名があるようで、特にこれらに大きな違いはないみたいです。

さて、向かった先は街の誕生当時の建物が集まっているエリア。事前に調べると、このデザインのマンホールは、チャーチとキングの交差点周辺を中心に西側に結構な数が残っているという情報が写真とともに上がっていました。

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その交差点の横断歩道の手前側に2箇所、この写真の左手奥(横断歩道の向こう側)に1箇所みつけました。道路の脇の側溝に向かって四角く切った鉄製のフタの真ん中に、小ぶりな丸いマンホールのフタが収まっています。

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中央にロゴがあり、「CITY OF TORONTO 1889」と完全体で描かれたものと、「CITY O TORONTO 1889」と OF のエフが抜けたバージョンがあります。なぜ2種類あるのか、また中央のロゴの由来もわかりません。なかなかの謎です。

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白く見えるのは、道路のアスファルトとの間に埋められたコンクリートのしぶき・・・道路工事の影に隠れて、随分とぞんざいに扱われてしまっています。裏を返せば、わざわざ取り外して新しくするという所まで(予算が)行かなかったのは、幸運なことなのかもしれません。

道路にあるフタ・イロイロ

あらためて道路を見ながら歩いていると、イロイロなフタがあることに気付かされます。

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「TORONTO HYDRO ELECTRIC SYSTEM」とは、電気ですね。日本と違って電柱はありませんので、電気ケーブルは地中に埋まっています。

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「BELL CANADA」は、電話線。今はもうスマホの時代なので、これはハイスピード・インターネットのケーブルでしょうか。トロントでは、家庭用のテレビやインターネットはすべてケーブルで接続します。

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「TRAFFIC」は、信号。交通信号機の管理ケーブルがここに埋まっているのでしょうか?

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これはフタではありませんが、三角測量点。精密な地図を作る時に使うものですが、GPSの時代になっても重要な役割を果たし続けています。時々作業員が木製の大きな三脚の上にくっつけた機器を使って、路上で測量をしているのを見かけます。今はGPSの時代ですが、細かい部分はこうやって測量しているのですね。

オンタリオ州の「ONTARIO POST ONE」。三角測量点のオンタリオ州の起点となるポイントは、クイーンズパーク州議事堂横にあります。調べた所、これはモニュメント的に作られたもののようでした。

20160423_121449.JPG

この三角測量を用いて作られたトンプソン・マップは別名「The Great Map」と呼ばれるもので、19世紀初頭(1812年)に初めて作られたカナダの精密な地図として非常に有名。毛皮貿易商がファーストネーションズの人々と商売をする上で絶対に必要な地図を製作した際に大活躍したのが、三角測量。現在はオンタリオ州アーカイブに原本が、またレファレンス・ルームの壁にレプリカが掲げられています。実際に見に行きましたが、なかなかの迫力でした。

新しいデザインのフタ

ちょっと話が外れたので、話題をマンホールのフタに戻します。

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トロントの東側にある、リージェント・パークというネイバーフッド。長い間この付近はあまり風紀がよろしくない場所と言われて来ましたが、大規模な再開発プロジェクトが進行中で、大きく様子が変わりました。

結構パブリックアートに力を入れているトロントのこと、デザイン・マンホールがどこかにあるのではないかと調べた所、再開発プロジェクトの一環として2007年にパブリック・アートのコンペが行われ、なんとマンホールのフタのアートを公募するという粋なイベントが行われたことを知ったわけです。

エリアは先ほどの古いマンホールのある場所から歩いて30分もかからない場所。地下鉄とストリートカーを乗り継いでもよかったのですが、お天気がいい日だったので散歩しながら向かうこととしました。

最初はちょっと行き過ぎてしまったのですが、Dundas と Regent ストリートの交差点から北に向かう道路に行くと、その新作アート・マンホールを見ることができます。(地図

なかなかモダンなデザインのフタを3種類、道路に埋め込まれていました。こうしたフタのデザインが出てくるというのは、とても面白いと思います。他にもあるか探したんですが、なかなかないようで・・・・

日本のマンホールのフタ事情

日本に一時帰国した時に、散歩の途中でこんな写真を撮ったことがありました。今日本では、マンホールのフタがカードにもなっていて、なかなかの盛り上がり。海外からも注目されているようです。

今度帰国したら、ぜひ見てみたいと思っています。

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